『薔薇バスケット』 

陶板表札誕生物語 その1


k9バラバスケット
1986、7年頃に写真家である向田直樹氏の写真集『アメリカの看板』を初めて見て、
その中で紹介されている看板の、手描きデザインの温もり・
伝統的な素材をもとに一品一品丁寧に作りこまれた信頼感、
そして看板そのものの発する美しさに圧倒されました。
日本でいつの間にやら見かけなくなった、
風雪に耐えてはじめて滲み出てくる歴史を物語る看板。
スイスアルプスの麓の村の窓辺を飾るハンギングの花や、
ヨーロッパの町並みに景観の一部として溶け込んでいる看板、
男たちの陽気な声が聞こえてきそうなイギリスのパブのサイン・紋章。
『ヨーロッパの看板』『イギリスの看板』を見て憧れに近い感情を抱いたものでした。

焼き物で看板を作ろう。
そう思って作り始めた初期のものです。
薔薇の花には陶芸で使うローズピンク顔料をもとに色釉薬を調合して。

そして連作として楕円形の中に鮮やかな明るいピンクをベースにウエルカムの気持ちを表して
焼き上げたのがこれです。

k8楕円バラバスケット